人材不足を派遣でカバーする介護業界

日本国民の寿命が延びて超高齢化社会になってきた日本では、高齢者が利用する介護施設の需要が急増している。それに伴い、介護職員の数も求められているが、実は介護業界は離職率が高い業界なのだ。

実際厚生労働省の統計では、職場を3年以内に退職している人が約4割弱もいた。そうした人の退職理由を調査したところ、金銭面に不満を持つ人が非常に多かったのである。厚生労働省が発表した介護職員の平均給与は日勤21万、夜勤を含む2交代が27万。確かに、高齢者の生活援助だけでなく身体介助まですることを考えると、給与に納得できない人もいるだろう。実際、他業種で同等の忙しさや責任を持つ仕事と比べると、群を抜いて少ないと言える。

では、なぜ需要の多い介護業界の仕事が低賃金かと言うと、介護保険を利用して施設に通う人が多いからだ。つまり、介護施設は利用者にサービスを提供した後、国に介護保険での支払いを求める。その際、国は全額ではなく9割の額を施設に支払うため、介護施設の手元に残るお金は少ないのだ。その上、介護施設の料金は国が定めているため、介護施設は儲けが出ないシステムになっている。それに伴い、介護職員の給与も少なくなるため、最近では派遣を利用した働き方が増えているのだ。

派遣会社を通して働く派遣は派遣会社が料金を請求するため、介護施設が設定した給与より時給が高くなる。その上、1分単位で残業代が支払われるのに加え、夜勤は法律で決まった日勤掛ける1.25倍が確実に支払われるのだ。よって、手元に残る額が介護施設勤務より多くなるという仕組みになっている。